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ココラ1月号で紹介した一般不妊治療についてです。
2017年12月に開催された新潟生殖医療研究会で当院における一般不妊治療の妊娠成績から妊娠に有意な治療項目を発表しました。
不妊治療は
①通常自然周期でのタイミング法、
次に②クロミッドとHMG単独の卵胞刺激剤を併用したタイミング法、
次に③HMG単独の卵胞刺激を併用したタイミング法、
次に④人工授精 など
の順でステップアップして治療を行っていきます。
ここまでの段階を一般不妊治療といい、胚の操作を行う体外受精などの高度生殖医療と区別されています。
また、不妊治療による妊娠例の8割が一般不妊治療で妊娠します。
高度生殖医療は不妊治療の最終段階であり有効的な治療法でありますが、 高額な治療であるため、一般不妊治療による妊娠率の向上を目指すことが患者さん有益と考えられます。
今回、一般不妊治療により妊娠した症例から、各治療周期の妊娠に有意な項目の有無を検討してみました。

対象症例は、2015年11月から2017年10月の期間、当院で一般不妊治療を行い妊娠した290例(妊娠数349)のうち、卵胞刺激を行った妊娠例232例(妊娠数291)を対象としました。
検討項目は②クロミッド併用タイミング法、③HMGのみのタイミング法、④人工授精の各治療周期における
(1)排卵数、
(2)HMG使用量、
(3)人工授精の実施時期、
について各々比較検討を行いました。

②クロミッド併用タイミング法では、排卵数で有意な差認められず、 HMG使用量が妊娠例で有意に多く認められております。クロミッド周期ではHMGの追加併用が必要と考えられました。

③HMGのみによるタイミング法における治療では、妊娠例で平均排卵数2.59と平均HMG使用量1,125単位(平均150単位 を7.5本使用)であり、非妊娠例と比較すると妊娠例で有意に多く認められております。この治療段階では、一定の卵胞刺激を必要とすることが考えられます。

④人工授精における治療では、妊娠例で平均排卵数 2.29であり、非妊娠例と比較すると妊娠例で有意に多く認められております。
HMGの使用量では差はなく、洗浄後総運動精子数も差は認められませんでした。
排卵前後の人工授精による治療では、排卵前に行った行った人工授精の妊娠率が29.9%、 排卵後の人工授精の妊娠率が58.1%で有意な差が認められました。

以上が、平成29年12月2日に新潟市で行われた研究会の発表内容です。
当院における一般不妊治療で妊娠した方の割合は、1割くらいが自然周期タイミング法、4~5割くらいがクロミッド+HMGかHMGなどの注射剤単独のタイミング法、2~3割くらいが排卵誘発剤併用の人工授精で妊娠されています。
これは、通常以前から言われている報告とほぼ一致します。そこで、今回の発表の目的は、妊娠のポイントを明確にするために行いました。
結論は、クロミッドには必ず注射剤の併用を行い150単位を3~4本を投与することが必要であります。
また、この方法で妊娠しない場合は注射剤のみで行い、2~3個排卵を行うようにします。
ここまでで5~6割の方がタイミング法で妊娠します。ここまでで妊娠しない方は人工授精をお勧めします。 精子の少ないカップルには非常に良い方法です。
顕微授精の適応になるくらい少ない精子の方でも人工授精で妊娠されています。
また、精子が通常の方でも、人工授精で妊娠されることが期待できます。
今回の発表から、人工授精の場合排卵後の方が排卵前より妊娠率が2倍良い結果でした。
排卵後にタイミング法で妊娠を試みても、残念ながら排卵して半日すると頸管粘液が出なくなり、 精子が子宮内に入れなくなり妊娠が難しくなります。この面からみても、人工授精が一般不妊治療で非常に良い方法です。
重要なことは、いづれの治療でも卵胞刺激の排卵誘発剤の注射剤は必ず必要であるということです。
クロミッドだけでは1個しか排卵しませんし、妊娠率は非常に悪いのです。