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ココラ9月号でご紹介した精子生存試験と精子が少ない症例における人工授精の妊娠の成績です。
①精子生存試験(サバイバルテスト)について
精子の受精能力を調べる検査です。射精した精液を洗浄して、なるべく運動している精子を回収し、これをスイムアップという処置をして100%動いている精子を集めます。
この2段階の処置をした精子を培養器に入れて24~36時間培養します。通常受精能力のある精子は、24時間培養しても80%以上は生存して運動しています。40%以下の生存率では受精能は乏し20%以下では受精はしないと考えられます。
    
②当院における精子減少症の人工授精治療成績
下記の表は、当院の精子が少ない症例の人工授精の治療成績を論文にして採用された中から抜粋したものです。今の人工授精は、射精した精液を洗浄し精子のみを抽出して、これを子宮の奥に入れます。この注入する精子のうち運動している精子の数が1000万以上は妊娠のために必要とされています。この数については、500万とか100万で良いという論文もあります。
 当院での精子が少ない症例の人工授精で妊娠した例の平均の運動精子数は645万で、妊娠していない例の476万より有意に多い数字です。ただ、これはあくまで平均であり、100万、10万でも妊娠した方も結構おられます。
 この表からもう一つ言えることは、妊娠した例では平均排卵数が3.1個、妊娠されない例の平均2.0個より有意に多い数を示しております。これは、妊娠のためには多くの排卵数が必要ということです。ちなみに、この排卵のための排卵刺激は全て注射剤による刺激です。内服薬は用いてはいません。                

乏精子症例の人工授精による妊娠例と非妊娠例の背景、臨床成績の比較

年齢(症例数) 妊娠例 非妊娠例 P value
症例数 42 107  
年齢 32.9±0.76 32.6±0.40 N.S
治療回数 3.9±0.42 3.1±0.21 N.S
総運動精子数(×10⁶) 6.45±0.64 4.76±0.44 p<0.05
LH(mIU/ml) 6.1±0.79 6.5±0.67 N.S
E₂ (pg/ml) 1,466±168.1 1,398±116.7 N.S
子宮内膜厚(mm) 10.2±0.31 11.6±1.00 N.S
Triple line sign 数(%) 37(88.1) 83(77.5) N.S
排卵数(個) 3.1±0.25 2.0±0.15 p<0.01

(受精着床学会誌 40巻No1より)

2017年08月25日