質問者
以前より月経が不順でしたが、45歳頃から2か月に1回になりました。
更年期が早くなるのでしょうか。何か治療をした方が良いのでしょうか。
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
45歳前後からの月経周期の乱れは、更年期に近づいているサインのひとつです。
「更年期」とは、卵巣機能が落ちてきて月経が不順になり出し、閉経をはさんだ前後を指します。
世界平均の閉経年齢は51歳なので、一般的には45歳〜55歳くらいの時期が更年期にあたります。
この時期に起こる更年期障害(症候群)は、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)が急激に減少し、間脳にある自律神経の傷害を起こすことが原因で発症します。
主な症状としてはほてり、発汗があります。
また、女性ホルモンの低下は骨粗鬆症の原因になります。
これらの症状は女性ホルモンを補充するホルモン療法で改善される可能性があります。
女性ホルモンは、症状改善の他に心血管疾患バイオマーカー(*)測定値に対して長期的に良好な効果を示す報告がされています。
米国「OBSTETRICS & GYNECOLOGY」(2025年4月号)に報告があり、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C、善玉コレステロール)を上昇させ、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C、悪玉コレステロール)、インスリン抵抗性の恒常性評価モデル(HOMA-IR、糖尿病の指標)を低下させる結果を認めています。
これらのデータから、ホルモン療法は有意義と考えられます。
(*)バイオマーカー(biomarker)とは、ある疾患の有無、病状の変化や治療の効果の指標となる項目・生体内の物質を指します。