質問者
不育症と言われましたが、検査で異常はありませんでした。
低用量アスピリンを処方され内服していますが、2年間妊娠しません。
どうしたら良いでしょうか?
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
不育症の原因からみてみましょう。
原因の10%は血栓傾向を示す抗リン脂質抗体であり、この抗体が陽性の場合のみアスピリン内服が有効です。
そのほかの10%は双角子宮、重複子宮などの子宮形体異常があります。
また、5.5%は不育症カップルのどちらかが染色体異常を有する保因者であることが原因であり、この場合は理論上1/3~1/4は正常妊娠が可能です。
あと4.5%未満が糖尿病、甲状腺疾患などです。
残り70%は、卵子が原因と考えられております。
流産を引き起こす卵子の要因としては、卵子・受精卵の染色体異常です。
卵子の染色体異常率は、年齢とともに上昇します。
さらに受精卵になると細胞分裂でミスプリントが起き40~50%の染色体異常が起きます。
この染色体異常が胚分割の時点で起きれば妊娠にならず、生体に与えるダメージが少ない場合は胎嚢、胎児まで育ち最終的に流産に至ることになります。
つまり卵子が原因の場合、不妊症と不育症は別個のものではなく、ひとつの疾患による重症度の違いによるものと考えられます。
まずは妊娠成立のために、不妊治療したほうが良いと考えます。