質問者
夫が夜勤などの交代勤務がある仕事をしています。
夜勤などをしていると精子に影響がありますか?
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
生殖医療の診療を長年行っていて痛感することは、精液の質が低下してきていることです。
公衆衛生上でも男性の生殖能力の重要な問題となっており、その疫学研究の多くは、環境暴露、食事因子などに限られていました。
最近、職業因子と男性の精巣機能と職業因子との関連を調べたデータが米国で報告されました。
2005年から2019年の間に不妊治療センターで不妊治療した男性パートナー377人(年齢中央値36歳)を対象としました。
結果は、仕事で重いものを持ち上げたり動かしたりすることが多い男性は、同じ動作が少ない男性に比べ精子濃度が46%有意に高く、総精子数も44%有意に多かったと報告されています。
また、交代勤務の男性は日勤の男性と比較して、同様に精子濃度が有意に高く、総精子数も有意に多く認められました。
仕事で肉体労働のレベルが高い男性は、軽度の肉体労作を伴う男性に比べて、同様に精子濃度が有意に高く、総精子数も有意に多く認められ、男性ホルモンの濃度が高い傾向にありました。
結果から、肉体的労作の多い仕事、交代勤務や夜勤の職業は、精子濃度、精子数の増加、男性ホルモンの増加など、男性の精巣機能の向上と関連性がある可能性があります。(データ出典:Human Reproduction 2023年4月号)