質問者
結婚3年目、妊活2年です。
精子が少ないとのことで人工授精を2回しましたが妊娠しません。
今後人工授精で妊娠する可能性はありますか。
回答者:医療法人社団 大島クリニック 院長 大島隆史
人工授精の妊娠率(出産率)は、その回数と年齢で違いがあります。
当院の人工授精の治療成績(受精着床学会誌より)から説明いたします。
34歳以下では1,2回目は20%、3,4回目15%、5回目7%です。
35,36歳では、1回目は18%、2~4回目15~12%、5回目4%、37,38歳で1,2回目は20%、3回目15%、4回目以降は0%、39歳以上では1~3回目3~5%、4回目以降は0%になります。
38歳までは、人工授精回数が3~4回まで治療が良い結果です。
その理由は条件が良い症例より妊娠すると考えられます。
データから妊娠に有効と考えられる結果は、排卵数と人工授精実施のタイミングです。
妊娠例の排卵数が平均約3個、非妊娠例は平均約2個で有意な差を認めます。
人工授精実施時期については、排卵後24時間以内の人工授精の妊娠率が、排卵前の妊娠率より有意に高い妊娠率を認めています。
ここで言う「排卵数」とは、超音波で確認できた、卵子が入っていた可能性のある卵胞が破裂した数を指します。
実際に破裂した卵胞内に卵子があったのか、その卵子が受精して妊娠につながったのかどうかは、この時点ではわかりません。
ただ妊娠した場合は、良好胚をつくる卵子であったということになります。
このように不明な点が多くありますので、人工授精は回数と妊娠率を見て実施回数を決められてはいかがでしょうか。


